|現場から
OTDで培った力は、組織変革の現場でも生きている — 認定講師からの現場レポート
130人を超える組織統合の場で、OTDワークショップは「変化を受け取れる状態=レディネス」を育てる入口になった。認定講師は、ワークショップを開く人ではなく、組織や地域における変化の入口をつくる人でもある——現場からの手記。
こんにちは。OTD普及協会です。今日は、OTDの学びがどのように現場で活かされていくのかについて、ひとつの実感をお届けしたいと思います。
130人を超える組織統合の中で
私はいま、自分が所属する組織の中で、組織変革に関わる取り組みを進めています。もともと別々に動いていた2つの本部がひとつになり、130人を超える新しい組織として歩み始めたタイミングでの取り組みです。
組織が統合されると、見た目にはひとつの組織になります。組織図も変わります。会議体も変わります。役割や担当領域も、少しずつ整理されていきます。
けれど、本当の意味で「ひとつの組織になる」ことは、そう簡単ではありません。それぞれの本部が大切にしてきた文化があります。仕事の進め方があります。使っている言葉があります。暗黙の前提があります。そして、まだ言葉になっていない戸惑いや不安もあります。
組織統合とは、単に部署を合わせることではありません。異なる歴史を持つ人たちが、これから同じ地図を見ながら進んでいくための関係性をつくり直すことなのだと感じました。
組織変革ワークショップの前に、OTDを
その中で、私がとても大きかったと感じていることがあります。それは、130人を超える組織変革のワークショップを行う前に、参加者全員にOTDのワークショップを体験してもらっていたことです。
これは、単なる事前研修ではありませんでした。
- 参加者一人ひとりが、自分の中にある前提に気づくこと
- 他者の見ている世界が、自分とは違うかもしれないと感じること
- 聞こえやすい声と、聞こえにくい声があることに目を向けること
- 対話とは「正解を早く出す場」ではなく、「まだ言葉になっていないものを一緒に見つけていく場」なのだと体感すること
その経験があったからこそ、その後の組織変革ワークショップで起きる対話の深さが変わったのだと思います。
変革の前に、レディネスを整える
いま振り返ると、これは参加者の 「受け取る準備(レディネス)」を整える時間でした。
変革には、正しいテーマや美しい資料だけでは足りません。どれだけよい問いを投げかけても、それを受け取る準備が場に整っていなければ、対話は表面をすべってしまいます。
けれど、参加者の中に少しでも、
- 「自分の当たり前を問い直してみよう」
- 「相手の背景に耳を澄ませてみよう」
- 「違和感をなかったことにせず、場に置いてみよう」
という感覚が育っていると、同じ問いでもまったく違うものとして受け取られます。
組織変革において大切なのは、いきなり変化を求めることではありません。まず、変化を受け取れる状態をつくること。つまり、レディネスを整えることです。
OTDのワークショップは、そのレディネスを育てるための、とても大切な入口になり得るのだと思います。
認定講師の経験が、変革の現場で生きる
そのうえで、私がさらに強く感じたことがあります。それは、OTDワークショップで培ってきた知識や、認定講師としての経験が、企業の組織変革の現場でも確かに活きている、ということです。
OTDでは、単に知識を伝えるのではありません。一人ひとりが、どのような前提を持っているのか。誰の声が聞こえやすく、誰の声がこぼれ落ちやすいのか。その場にある違和感や沈黙を、どのように扱うのか。正解を急がず、対話の中で構造を見つけていく。
こうした経験は、組織の変革を進めるうえで、まさに必要とされる力でした。
変革に必要なのは、制度ではなく問いを扱う力
組織変革とは、制度や戦略を変えることだけではありません。本当に難しいのは、
- 人々が当たり前だと思っているものを、もう一度見直すこと
- 言葉になっていない不安や抵抗を、否定せずに場に出せるようにすること
- 部署や立場を越えて、「私たちはこれから何を大切にしていくのか」を問い直すこと
そのプロセスには、ファシリテーションの力が必要です。しかもそれは、単に場をうまく回す技術ではありません。参加者の奥にある経験や価値観を丁寧に扱いながら、場全体が少しずつ自分たちの構造に気づいていくように支える力です。
130人を超える組織になると、一人ひとりの声はどうしても見えにくくなります。けれど、変化はいつも、現場で働く一人ひとりの実感からしか始まりません。
認定講師は、組織変革ファシリテーターでもある
今回の経験を通じて、あらためて思いました。OTDの認定講師は、ワークショップを実施する人にとどまりません。組織や地域やコミュニティの中で、変化の入口をつくる人になれるのです。
誰かに答えを与える人ではなく、人々が自分たちの中にある問いに気づき、対話を通じて次の一歩を見つけていくための場をつくる人。それは言い換えれば、組織変革ファシリテーターとしての可能性です。
OTDで学ぶことは、社会課題を理解するためだけのものではありません。
- 企業の中で、組織の文化を変えていくことにもつながります
- 地域の中で、人と人との関係性を編み直すことにもつながります
- 教育や福祉の現場で、見えにくかった声を聞き取ることにもつながります
変革は、小さな問いから始まる
変革は、いつも大きなスローガンから始まるわけではありません。むしろ、
- 「この場で何が起きているのだろう」
- 「誰の声がまだ聞かれていないのだろう」
- 「私たちは本当は、何を変えたいのだろう」
そんな小さな問いを、誰かが丁寧に置くところから始まります。OTDの学びは、その問いを置く力を育ててくれます。
変化の入口をつくる仲間を、募集しています
私たちはいま、そんな変化の場をともにつくっていく仲間を募集しています。社会の中で、組織の中で、地域の中で。まだ言葉になっていない声に耳を澄ませ、対話を通じて次の一歩を生み出していく。
そんな役割に関心のある方は、ぜひOTDの学びに参加してみてください。あなたのこれまでの経験も、きっと誰かの変化を支える力になります。そして、あなた自身もまた、組織変革ファシリテーターとしての一歩を踏み出していけるはずです。
私たちと一緒に、変化の入口をつくる仲間になりませんか。
[要運営確認] 本記事は現場からの一人称手記として構成しています。実名・所属を公開する場合は、執筆者の許諾をお取りください。ペンネームや「OTD認定講師(匿名)」として運用することも可能です。