Concept
障害の社会モデル
Social Model of Disability — OTDの理論的バックボーン
DEFINITION
障害の社会モデル(Social Model of Disability)とは、「障害」を個人の機能や心身の状態に帰属させるのではなく、社会の側にあるバリア(物理的・制度的・文化的障壁)によって生み出されるものとして捉える考え方です。
個人モデルから社会モデルへ
従来「障害」は、個人の機能の不足・欠損として説明されてきました(個人モデル/医学モデル)。これに対し社会モデルは、機能の差そのものは「障害」を生み出さないと考えます。階段だけしかない建物が、車椅子利用者にとっての「障害」を作り出している——そう、原因は社会の側にあるのです。
OTDにおける社会モデルの応用
OTDは、この社会モデルの視点を 組織 に応用します。すなわち、ある属性の人が組織で活躍しにくいのは、その人の能力や努力の問題ではなく、組織側の制度・慣習・前提が、結果として一部の人々の参加・活躍を阻んでいるのではないか、と問い直すのです。
具体例:組織における社会モデル的な視点
- 会議の進め方:声の大きい人が議論を主導する文化は、内省型・少数派の意見を制度的に排除している。
- 評価制度:長時間労働や転勤を前提とした評価は、ケア責任を持つ人材の昇進を構造的に阻む。
- 採用基準:学歴・経歴のフィルタは、特定の出自の人材の機会を狭める。
これらは個々の人材の問題ではなく、組織の側の「設計の問題」として捉え直すことができます。これが社会モデル的な視点です。
関連する概念
- 無意識の特権:マジョリティが社会のバリアを感じずに済んでいる、という気づき。
- Nモデル:社会モデル的視点を組織変革に翻訳するフレームワーク。
- OTD:これらを束ねた、組織変革のためのダイバーシティ概念。
本ページの記述は、東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターおよび障害学領域の研究知見を踏まえて構成しています。詳細な学術的議論については、星加良司教授のプロフィールに紹介する文献等もご参照ください。